黄昏バラッド
私は再びサクの家へと入ってしまった。
昨日泊まったくせに、やっぱり他人の家は落ち着かない。サクは荷物を置くとすぐに私の置き手紙に気づいた。
「ありがとうって、それは直接言ってよ」
クスクスと笑いながら、また私を子供扱いしてる。
「……サンドイッチ食べなかったの?もしかして嫌いだった?」
私の苦手な顔だ。そんな顔で聞かれたら正直に言うしかないじゃん。
「……嫌いじゃない。でも私のか分からないし」
本当は私のだって分かってる。
だけどやっぱりヘンなプライドがあって、それに手を付けることができなかった。
「ノラのに決まってるでしょ。他に誰がいるの?」
サクはそう言ってテーブルにコンビニで買ってきたものを並べた。
「とりあえず食べようよ。俺お腹ペコペコ」
お弁当に肉まん、それとお菓子にアイス。それはふたりでは食べきれないほど大量だった。
サクって謎だけど、今はなんとなく分かる。
私の好きなものが分からないから沢山買ってきたんでしょ?
でもそれ以上に、サクが私のことを考えてくれてたって思ったら、なんだかそれだけでお腹いっぱいだよ。