黄昏バラッド
『卒業したら結婚しよう。俺は本気だから』
ああ、またイヤな夢。
『どうせうちらのことバカにしてたんでしょ。
ざまーみろ』
『何を考えてるの?恥ずかしくてみっともない』
『え?まさか本気だったわけじゃないよな?ただの遊びだよ』
やめて。もうなにも言わないで。
もうなにも聞きたくない。
『ねえ、知ってる?横井先生って婚約者がいるんだって』
――ガバッ!!
私は慌ててベッドから飛び上がった。
冷や汗で体が小刻みに震えていた。ただの夢なのに、たかが夢なのに息の仕方を忘れるぐらい苦しい。
「はあ……」
私は髪をクシャッと掻き、うるさい心臓を落ち着かせた。
……本当にイヤな夢。
もう忘れたいのに。