黄昏バラッド
やる気になってた分、かなり現実を見せつけられたって感じだ。
……どうしよう。やっぱり大事な物は持ってくるべきだった。このままだと私はきっとどこでも働けない。
だけど今さら家に帰るなんて絶対にできない。
「あれ?あれ?もしかして……?」
落ちこんでコンビニの外で座っていた私に誰かが声をかけてきた。
足元を見るとなんだかチャラそうな靴が見えて、ナンパかな……と私は不機嫌そうにチラッとその人を見ると見覚えのある風貌(ふうぼう)が。
スカル柄の革ジャンに、ギラギラと眩しいシルバーのネックレス。このロック系の男の人は……。
「あ、やっぱり亮と一緒にいた子だよね?」
――林原 鉄。
サクの知り合いの人だった。
「制服じゃなかったから一瞬分からなかったよ。こんな所で何してんの?」
見た目は怖そうなのに、すごい気さくな人。
「……えっと……」
なんて答えたらいいのか分からなくて、私は口ごもってしまった。
「今日は亮と一緒じゃないんだ。この辺に住んでるの?」
すぐに行ってしまうと思ったのに、何故か隣に座ってきた。
どうしよう。この辺に住んでるとか勝手に言うべきじゃないよね?まあ、私がサクの家に住んでるなんて夢にも思わないだろうけど。