黄昏バラッド
改めて見ると鉄さんって本当にサクとは真逆。サクはタバコを吸わないし、こんな男らしい口調で喋らない。
子供っぽいサクとは違って鉄さんは大人の男の人って感じ。
「……ノラちゃんって亮の彼女?」
「違います」
それだけは即答で返した。
「ぷ、あはは。そんな全力で否定したら亮が可哀想じゃん!」
鉄さんの笑い声がコンビニの駐車場に響く。なにやらツボに入ったらしくゲラゲラとお腹を抱えていた。
サクが彼氏だと思われたくないんじゃなくて、私がサクの彼女だと思われたくない。
だってサクが困るから。まだ彼女疑惑も明らかになってないし。
「そっか。彼女じゃないかー。そうだよなぁ……」
「……?」
鉄さんの意味深な言葉に引っかかった。なんだかそれはすごく残念そうで、ガッカリしてる感じだ。
私がサクの彼女ならよかったの?
よく分からない。
「……あの、て、鉄さんとサクってどういう関係なんですか?」
思いきって聞いてみた。
サクのことを探ってるわけじゃなくて、なんとなくただの知り合いじゃなさそうだから。