黄昏バラッド
:サンセット
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「ただいま」
日が暮れた6時過ぎ、サクが仕事から帰ってきた。なんだかこうやってサクを待ってるのがヘンな感じ。
「……お、おかえり?」
私は不自然に口ごもってしまった。だってここはサクの家だし、私が出迎えるのに違和感を感じるから。
「はは、なんで疑問形?」
サクは笑いながら肩にかけていたバッグを下ろした。
同棲しているカップルって、きっとこういう感じなんだろうな……。私たちは彼氏とか彼女の関係じゃないけどさ。
「サク……あのね」
私が話し始めようとした時、サクが突然〝何か〟に反応するように表情を変えた。
「ど、どうしたの?」
「……ノラ、鉄に会った?」
……え?
私はなんでバレてしまったのか理解できなくて固まってしまった。別に隠すつもりなんてなかったけど、なんか私の顔に書いてあったりしないよね?
「あーいや、タバコの匂い。この甘い匂いって独特だからさ」
ぜんぜん気づかなかったけど、きっと匂いが洋服に染み付いてしまってたんだと思う。
だって隣で何本も吸ってたし。