黄昏バラッド


「5、4、3……」

突然始まったカウントダウン。

私は何が起こるのか全く予想が出来ないまま、立ちつくしてるしかなかった。


「2、1……」

その瞬間、男の人と目が合ってついにその時がきた。


「0ーー!!」

カウントダウンの終わりと共に降ってきたのは大量の水。雨じゃない、これは……。


「あはは、ビックリした?」

私と同じく水に濡れた男の人は子供みたいな顔で笑っていた。私は頭から滝のように水をかぶり、制服も靴も全てびしょ濡れ。


「この噴水、12時になると止まるんだけど、その瞬間最後のあがきみたいに水が飛び散るんだよね」

確かに噴水はもう止まっていた。


「俺も久しぶりに浴びた。いつもは知ってるから絶対に近寄らない」

男の人の前髪からはポタポタと水滴が垂れていて、私と同じでびしょ濡れだった。
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