黄昏バラッド



常連なのかと思ったけど、なんかだか雰囲気が違う。

だって深いキャップを被り、顔には大きなサングラス。偉そうに足を組みながら店内をジロジロと見渡している。


「ねー鉄は?」

突然大声で従業員たちに話しかけてるし。


……鉄さんの知り合い?

でもこの人が入ってきた瞬間、店の中がピリピリしたのは気のせい?ゆっきーさんやたかみーさんも落ち着かない様子でそわそわしてるように見える。


「おい!鉄!!いるんだろ?」

怪しい人はまた大きな声を出した。

他にまだお客さんがいないからいいけど……なんなの?この人。


「もう二度とここには来るなって言わなかったか?」

スタッフルームから出てきた鉄さんの顔が怖かった。


「ふん、まじでまだカフェやってんだ。相変わらずぬるいな。お前」

この人なに?

よく分からないけど偉そうだし、店内の空気が息苦しいほど重い。


「おい、だれか店の外に準備中の札(ふだ)かけとけ」

そんな中、イラついたように鉄さんが指示をしてゆっきーさんが慌てて札をかけに行った。

これで誰もお客さんは入ってこれないけど、なんかそれが余計に怖いっていうか……。
< 98 / 270 >

この作品をシェア

pagetop