黄昏バラッド
常連なのかと思ったけど、なんかだか雰囲気が違う。
だって深いキャップを被り、顔には大きなサングラス。偉そうに足を組みながら店内をジロジロと見渡している。
「ねー鉄は?」
突然大声で従業員たちに話しかけてるし。
……鉄さんの知り合い?
でもこの人が入ってきた瞬間、店の中がピリピリしたのは気のせい?ゆっきーさんやたかみーさんも落ち着かない様子でそわそわしてるように見える。
「おい!鉄!!いるんだろ?」
怪しい人はまた大きな声を出した。
他にまだお客さんがいないからいいけど……なんなの?この人。
「もう二度とここには来るなって言わなかったか?」
スタッフルームから出てきた鉄さんの顔が怖かった。
「ふん、まじでまだカフェやってんだ。相変わらずぬるいな。お前」
この人なに?
よく分からないけど偉そうだし、店内の空気が息苦しいほど重い。
「おい、だれか店の外に準備中の札(ふだ)かけとけ」
そんな中、イラついたように鉄さんが指示をしてゆっきーさんが慌てて札をかけに行った。
これで誰もお客さんは入ってこれないけど、なんかそれが余計に怖いっていうか……。