意地悪なアイツ【完】



久々に繋いだ私たちの手は
冷えきっていてとても冷たかった。


でも、どこか温かくて…
心が安らいだ。



私達は電車に乗り、海に向かった。

あんなに外は寒かったのに、
電車の中は暖かくて…

一歩外に出るとまた冷たい風が
私たちをよりいっそう冷やした。



「海なのに今日は
あまり風が吹いていないな」

『そうだね』

何て会話をしながら浜辺に座った。



『で、海に来て何するの?』

そう問いかけると、


「まぁそんな焦んなって(笑)」

健人は身を小さくして
私の手を掴んでポケットの中に入れた。



んっ?

温かい…



健人のポケットの中に
何か温かいものが入っている。


カイロだ!


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