意地悪なアイツ【完】
確かに良い眺めだ。
海だから花火を遮るものがなく、
全体を見る事ができる。
冬にうち上がる花火なんて初めて見た…
夏に見る花火も綺麗だけど、
冬に見るともっと綺麗だなぁ…
空が澄んでいるからか分からないけど
色がハッキリしていて、
夏よりも儚いように感じる。
…
花火はクライマックスに入り
なん連発も打ち上がる。
その凄さに圧倒され
口を開いてぼーっと見ていると、
いつの間にか花火は終わっていた。
「終わっちゃったな
もう8時だし帰ろうか…」
その言葉に私は頷き、駅に向かった。
駅に向かう途中、私達は手を繋いで
他愛もない会話をたくさんした。
普通の恋人だったら当たり前かもしれない
でも、あまりデートのできない
私達にとっては特別な事で…
なによりもその時間が幸せだった。