意地悪なアイツ【完】
~唯 side~
マフラーとコートが
手放せなくなった2月上旬
私は制服のポッケに手を突っ込みながら、
一人で登校していた。
ボーッと遠くを見つめていたとき、
後ろから大声で話す女の子の声が聞こえてきた。
「ねぇねぇー知ってるー?」
「何がー?」
盗み聞きではないが、自然と耳に入ってしまうため聞いてしまう。
「2組の吉田健人って知ってるでしょ?」
「当たり前じゃんっ!
学年で1、2を争うイケメンでしょ!?」
「そうそう! で、その吉田健人がさ
河原可奈と付き合ってるんだって!」
えっ?
健人と可奈が付き合ってる…?
私はその話しを聞いて自然と足が止まった。
そのせいで、私の後ろで話していた
女の子が私にぶつかってしまった。
『あっすいません…』
そう一言謝って、会釈をする。
二人は “何この…人” という顔で私を見て、
行ってしまった。