意地悪なアイツ【完】
低いお医者さんの声に私の鼓動も
ドクドクと鳴り始めてきた。
「検査の結果ですが、
脳に異常はありませんでした」
その一言に、私は胸を撫で下ろした。
横を見ると今まで不安な顔をしていたお母さんも安堵の表情を浮かべている
だけど私の目の前にいるお医者さんは
口に手をあて、ただ一人だけ険しい顔をし
じっと手に持っている書類を見つめていた
『どうかしたんですか?』
気になった私は単刀直入に聞いた。
「えぇ。
脳に異常はなかったんですが
他の場所で気になる事がありまして」
気になること…?
安心していた私の心は一気に沈み
不安の波が押し寄せる。
「最近、視力の事で何か問題はありませんでしたか?」