意地悪なアイツ【完】
オレンジ色に染まる空の下、
私はこの県で一番大きい公園の前で健人を待っていた。
今日は健人と初めての花火デート
だから浴衣を着て、
髪の毛もアップして気合いを入れてきた。
私の苦手な下駄だって履いてきた!
辺りを見渡せば花火を見ようと
たくさんの人が公園の中へと入っていく…
そのたくさんの人に埋もれないように
必死に健人を探していると
あたしの名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
「ゆい~」
声の聞こえる方を向くとやっぱりアイツの姿…
「ごめん、待った?」
『んーん、今来たところ♪』
なんて
テレビに出てきそうな台詞を交わし
あたしたちは公園の中へと足を進めた。