意地悪なアイツ【完】


重くサビついたドアを開けると
目の前いっぱいに広がる青空

肩身が狭そうに隅の方に置かれているベンチ


ここは屋上


天気が良い時はそのベンチに寝そべって
日向ぼっこをするのが俺の癒し


俺だけしか知らないと思っていた
この特等席を、健人は知っていた。


『なんだよ、
お前も知ってたのかよ』


「当たり前だろ~
一年生の時から知ってたよ」



他愛もない会話をしていると、
一時間目の授業を知らせるチャイムが鳴った。


「あ~ぁ
久々学校に来たのに

俺は真面目に授業も受けられねーのか」


両手を頭の後ろに組んで横目で俺を見ている。


『いつも受けてないだろ』

「そーだな」


笑い合う俺達。

こうやって二人で笑い合うのは
いつぶりだろうか…


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