意地悪なアイツ【完】
~龍 side~
雪が降る季節は過ぎ去り、
梅の蕾が咲き始めた
そんな梅の木をみながら
俺は久々に川沿いを健人と歩いていた。
久々に会った健人は
心身共に成長していてビックリした。
きっと唯の事があっただろう…
バレンタインの日の夜
俺は愛美と一緒に二階の俺の部屋にいた。
「龍ー、愛美ちゃーん」
一階から俺たちを呼ぶ親の声が聞こえ、
下に降りると健人がいた。
唯とデートするって聞いていたのに
俺の家に来たことに驚く俺たち。
『どうしたんだよ』
俺は自分の部屋にあげ
健人の話を聞くことにした。
「唯の目が見えなくなってしまった…」
健人はそれだけ告げると黙りこむ
あまりにも唐突すぎて言葉がでない…
こんな日が来ることを分かっていても
本当に唯の目が見えなくなってしまったと
分かりきれていない俺と愛美。
そんな俺たち二人に
「俺が一生唯を守る。
俺が一生唯を支える。
だけど、もし俺の力が足りない時に
龍と愛美の力を貸してほしいんだ」
力強く話したあと
健人は立ち上がり俺たち二人に深々と頭を下げた。