意地悪なアイツ【完】
「それではお楽しみくださーい」
声が聞こえたと同時に俺達はブラックホールのような暗い空間へと入った。
キャーと言う唯の叫び声。
その声は回りに反響して山彦のように聞こえる。
『うるせぇー』
俺も笑いながら叫ぶ。
やっと出口の光が見えてきた。
あとちょっとしたらこの楽しい時間は終わる。
少しの間でも唯と二人っきりで楽しめた事が嬉しいのに
もう終わってしまうのか…
そう思うとなんだか寂しくなってきた。
ジャッバーンッ
俺達は暗闇から出た。
係員に誘導されながらプールサイドに連れて行かれる。
手を胸に当てながら楽しかったねーと話す唯。
俺はうんとニコニコしながら返した。
浮き輪を戻し流れるプールに行こうとしたら龍が物凄い形相で走ってきた。
「お前ら愛美見てねーか?」
えっ愛美…?