意地悪なアイツ【完】
「見てないよ…愛美がどうかしたの?」
不安げな顔をして問いかける唯。
「愛美とはぐれた…」
はぐれた…!?
みるみる青ざめていく唯。
「愛美捜さなきゃ…」
今にも泣き出しそうな顔で1人走って行こうとする。
だけど、
俺は唯の腕を掴んで走るのを止めさせた。
「離してよっ」
腕を払おうとするが
男の力にはやっぱり敵わない。
『お前も離れたら愛美どころじゃないだろ!』
今までにないくらいの強い口調で言う。
すると、
どんどん唯の腕の力が抜けていくのが分かった。
「とりあえず一緒に愛美を捜そう」
そう龍が言うと
唯を先頭にして俺達は愛美を捜した。
回りには人…人…人!
どこを捜しても愛美はいない。
「どこにいんだよ」
焦りからか苛立つ龍。
本当だよ…愛美どこにいるんだよ…
その時、
「愛美ー!!」
唯が叫んだ。