意地悪なアイツ【完】
「前に私の携帯を返してもらうために
二人で本屋さんに行ったでしょ」
唯は口を尖らせながら
「どこに行くの?って聞いても
“さーな”しか言わないし」
少し頬を赤くして、
「あーぁ、
あの時の健人はまだ優しかったのになぁ」
じっと俺を見つめて言った。
『うるせーよ、今も優しいだろーが』
「優しい………かな!(笑)
で、好きな人は!?」
目をまん丸くし、
身を乗りだして聞いてきた。
『んー、俺は秘密主義だからな』
「意味分かんなーい」
足をジタバタさせる唯。
その行動すべてが可愛く見える
『そーいえば唯は好きな奴いねーの?』
ドキドキする胸を必死に抑えながら聞いた。
「んー私、秘密主義だからぁ(笑)」
人差し指を口に当て笑う唯。
はぁ…なんだよそれ…
めちゃくちゃ気になんじゃん。
『へぇー好きな奴いるんだ』
「いないもん!!」
意地悪っぽく言う俺に
頬を膨らませ、むきになる。
唯、それ反則…