【完】運命は罠と共に
私がシャワーから出てきても、田中さんはソファの上で何か考え事をしている様子だった。


変わらず浮かない表情のままで、ドキドキしていた自分が少しバカらしく思えてきた。


「どうかしました?」


完全に動きを止めてしまっていた田中さんの隣に座りながら、痺れを切らして尋ねてしまった。


私の問いかけにはすぐに答えてはくれず、言おうか迷っている様子だ。


何かしたかな?と不安になった。





「いや、さっきから気になってたことがあって。聞いてもいい?」


「気になることですか?いいですけど?」


思い当たる節は何もなくて、何が田中さんにこんな顔をさせるのか私も聞きたくなった。


本当になんだろう。



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