【完】運命は罠と共に
「あれ?どこに向かってるんですか?」


アパートを出てから、なぜか私の車のある駐車場、そして少し離れた駅のある方向とも違う方向へ田中さんは歩きだした。


「俺の車持ってきた。けど、駐車場が分からなかったから、近くのコンビニに停めてきた」


「そうだったんですね。聞いてくれれば駐車場余ってるから使えたんですけどね」


こんな田舎じゃ、車は1人一台が当たり前。


なにかと不便な場所。


地域柄なのか、うちのアパートは家賃に駐車場代が含まれている。


しかも2台分の駐車場。


こんな事からもこのアパートがファミリー向けなのが垣間見える。


「もっと早く聞けばよかったな。今度からそっちに停めさせてもらうようにする」


「一台分持て余してたので、ご自由にどうぞ」


話をしているうちに、コンビニの駐車場に着き、田中さんの運転する車の助手席へと乗り込んだ。


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