【完】運命は罠と共に
運転する姿もかっこいいな。


助手席ってこんなにも素敵な席だったんだと初めて感じた。


「……聞いてる?」


あまりにも見入っていて、田中さんの話をほとんど聞けていなかった。

いかん、いかん。見惚れてる場合ではなかった。


「すみまんボーっとしてました。もう一回お願いしていいですか?」


「俺が見たい映画ってアクションものの洋画なんだけど、アクションもの大丈夫?女の人って苦手な人も多いからな」


なんだ、そんなことか。私は問題ないんだよね。


「アクション好きですよ。というか、女の子が好きなラブロマンスとか、感動系が全般苦手なんですよ」


「それは意外だな。いかにも女の子ってのが好きそうだと思ってたから」
それよく言われる。でも本当は逆なんだよね。


「逆なんですよ。だから私の見たい映画は友達は興味なかったりして、洋画とかは1人で見に行くことが多いですね」



あくまで洋画は1人ね。


亜美ともよく映画に行くけど、亜美と行く映画はもっと特殊だから。


これはまだ言えない。引かれたら嫌だから。



「俺も映画は洋画ばっかりだから、今度からも一緒に観に行けそうだな」






実は映画デートなるものは今まで一度もない。


だから本当に嬉しくて、そしてワクワクしていた。


今後もデートできると思うと、さらに嬉しさに胸の高鳴りは加速していった。


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