【完】運命は罠と共に
今日は田中さんが迎えに来てくれるって言っていた。


本当は来てくれるのがすごく嬉しい。


けれど、素直に嬉しいとは言えず強がってしまった。


それに仕事の後に来てもらうのが申し訳なくて、「大丈夫」って断ったけど、折れてはくれなかった。


だから、お言葉に甘えてお願いした。




一次会の締めの挨拶があっている頃にメールを送ったら、『すぐに行く』と返信が来ていた。


今日はいつもの病院近くの店が開いていなくて、少し病院からは離れた場所で飲んでいた。


田中さんの家からは割りと近いらしく、連絡は終わる頃でいいと言われていた。


早く会いたくて仕方ない。






それなのに……どうして、楽しい気分を邪魔するの?


「金本さんも二次会行くよね?まだ話足りないし」


「私は帰ろうとかと・・・・・・」





まだ居たのかと思った。


私はあんたとはもう話さなくていいんだけど。




そんなことは言えないし、曖昧に笑うしか出来なかった。


笑顔でごまかそうとしても無理で、困ってしまった。


酒の力だろうか、いつもより強引で無理に腕を引こうとしている。


誰か助けてよ……。


亜美に助けを求めようと亜美を探したけれど、優に電話をしていて、助けてくれない。


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