【完】運命は罠と共に




「……どうして泣くかな?」


どうしてって私が聞きたい。


なんで泣いてるって分かったの?


まだ声を出せない私を、洋輔さんは軽々と抱えて仰向けにしてしまった。


「ほら、泣きやんでよ」


そう言って、困った顔をした洋輔さんに、こんな顔を私がさせたんだと思うと、涙は止まるどころか、どんどんと涙が溢れてきた。


「あぁー、もう、奈々の涙に負けた。とりあえずこれ着てくれる?我慢できそうにないから」


そういって差し出されたのは、私が着ていたはずのパジャマだった。





着るって、足りないよね?


「……下着は?」


聞いておくべき事だよね。


「いらないでしょ?どうせまた脱がすんだから」


ちょっ、この人はまたサラッと。


まだこんな発言への耐性は出来ていないのに。


「そんな照れないでくれる?可愛くて仕方ないからさ。これでも頑張って我慢してんの。分かったら、何で泣いたか話して。たまには俺に思ってること吐き出して」


この可笑しな状況のお陰なのか、さっきまで出ていた涙は自然と止まっていた。


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