【完】運命は罠と共に
「本当は起きたら洋輔さんがいてくれて嬉しかったの。寂しかったのも忘れるくらい。けど、それを言いたくなくって黙ってみて、でもそんな自分が嫌になって、自己嫌悪に陥って、気づいたら泣いてた」


ちゃんと伝わったかな?




「何その理由」


……呆れられたかな?


不安になって洋輔さんの顔を覗き込んだ。


けれど、すぐに彼の大きな手で目を塞がれてしまった。


「それ可愛すぎるだろ。よかった、俺の事が嫌だったわけじゃないんだよな?」


そんなことあるはずない。


自分が嫌になっただけなのに。


「嫌になんてならない。嫌になるくらいなら、こんなに寂しさ感じなかった」


「寂しい思いさせてごめんな」


私がいけないと思うのに、すべてを包み込んでくれるような優しさに、本当に嬉しくなった。






今度は言葉よりも先に体が動いていた。


私の上にいる彼の首に手を回して、抱きついた。





「洋輔さん……愛してる」





ちゃんと声が届くように、耳元で想いを言葉にした。


今の気持ちを表せる言葉を、他には知らない。

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