【完】運命は罠と共に
「1人で2本ほど見てきました」


私の答えには納得いかなかったらしい。


「1人?嘘ついてない?俺見たんだけど」


嘘??何が?わけが分からなかった。


1人で映画を立て続けに2本見て、それから帰ろうとして……





「……あ」


すっかり忘れていたが、1つ思い当たることがあった。


もしかしてあれですか?

あの状態を見られていたならこの状況も納得がいく。


それって嫉妬してくれたってことだよね。


前回の失敗を踏まえて、今度は嬉しさを顔に出さないように頑張った。





「映画見て、帰ろうとしたとき高校の同級生にばったり会いました。そして、報告があるって言われて近くのカフェに入りました」


「その同級生って男だよね?」



……そこか。


「うん、そう。弘樹っていうんだけど、弘樹は亜美の幼馴染で、私の幼馴染で 後輩の彼氏」


私を押さえつけてる力が緩んだのを感じて、洋輔さんの下から抜け出すことに成功した。


もう少し説明を付け加えようと思って、洋輔さんに向き合って座った。


「1月に高校のOB会に行ってきたでしょ?その頃から2人がこそこそしていたのは知ってたけど、最近付き合い始めたってわざわざ報告してくれたんだよね。すでに後輩の真紀から聞いてたけど」


亜美の幼馴染の弘樹と、私の幼馴染の真紀。真紀には長く付き合っている彼氏がいたけど弘樹と再会して別れたらしい。


高校時代からお互い気にかけていたのは気付いていたけど、とくに進展はないまま私たちが先に卒業してしまった。


幸せそうに話していた弘樹の顔を見て、真紀を幸せにしてくれるはずだと安心した。


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