【完】運命は罠と共に
あっ、洋輔さんも起きたみたいだ。


まだすごく眠そうな彼にいたずらでも仕掛けるような気分になった。


「おはよう。奈々、もう起きたの?」


「洋輔さん、おはよう。今日ね、いい夢見れたから」


早く伝えたい。


私の想いを。







「私と結婚してください」



まだ覚醒しきってない彼の耳元で囁いた。


「……え?……え?もう一回言って」


理解するまでに、時間が掛かったらしく、洋輔さんにしては反応がすごく遅かった。


その様子が可笑しくて、すごく楽しくなった。


「いや。1回しか言わない」


恥ずかしくて二度も言えるわけがない。


そんなことしたら、不意打ち狙って言った意味ないじゃん。


「奈々今のは反則だろ。俺がちゃんと起きてる時に聞かせろよ」


「なんと言われても、もう言わない」


絶対に折れないと決めている私に、洋輔さんは諦め……るはずはなかった。



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