【完】運命は罠と共に
「そんな理由ならよかった。槻木さんが言ってた通りだな」
え?亜美?何でここで亜美が出てくるの?
「……亜美ですか?」
田中さんは、『あっ』って顔をして、苦笑いしていた。
「槻木さんには内緒って言われてたんだけど、俺もちゃんと話すよ」
田中さんのことを相談したときに、「まかせて」と亜美が言っていたことを思い出した。
私の知らないところで何かやったな。
「話したいけどさ、ここじゃちょっと……」
そういって田中さんがチラッと周囲を見回した。
その視線を追うと、言いたいことが分かった。
多くの客が私たちの動向を窺っているようだった。
確かにこんなところでは私も話しづらい。
「ですよね。どこか移動しましょうか」
お互いに意見が一致したらしく、すぐに2人で席を立った。