私を壊して そしてキスして

「俺は、菜那だけを見ている。

菜那は、いい女だ。俺をこんなに虜にさせるくらい。
こんなに夢中になったのは、初めてだ。こんなに長く、片思いしたのも。

だから、傍にいてくれ。

誰が何と言おうと、俺には菜那が必要だ。
お前が消えそうで怖くて仕方ないんだ」



その言葉に、声をあげて泣いた。

靖司の裏切りが分かってから、こんなに思いっきり泣いたのは、初めてかもしれない。


靖司と愛希の関係を知ってから、自分がどこにいるべきか見失ってしまった。

食べることも、眠ることも、息をすることでさえ、どうしてしているのか、その意味すら見失ってしまっていた。



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