私を壊して そしてキスして
眠れずに処方してもらった睡眠薬を一度にたくさん手に出してみたことも、あった。
だけど、勇気のない私は、それを飲み干すことすらできなかったんだ。
そんなことが、頭の中を駆け巡る。
勇気もない。魅力もない。
そんな私が、妹に婚約者を奪われるのは、必然だったんじゃないかって。
靖司と愛希に向けられていたはずの毒が、いつの間にか自分自身を蝕んでいた。
黙って私の髪を梳きながら、ただ、私のしたいようにさせてくれる。
やがて彼の胸が、私の涙でびっしょり濡れたころ、ようやく我に返った。