私を壊して そしてキスして
「菜那を一人にはしない」
そう言ってくれる彼の肩に、頭を預けた。
彼は私の肩に手をまわすと、力強く抱いてくれる。
決して二人の関係は解けないと、訴えられているように。
少しずつ少しずつ、荒立った心が静まるのを感じる。
「菜那、目をつぶってごらん?」
「イヤ……」
「大丈夫。俺が傍にいる」
恐る恐る目を閉じて、彼の鼓動を数える。
やがてその音が私のそれと混ざり合って、程よい子守唄となる。
ひどく疲れ切っていた私は、徐々に意識が薄れていくのを感じていた。
あんなに目を閉じるのが怖かったというのに。
やがて、唇に仄かな温かみを感じた後、完全に意識が遠のいていった。