私を壊して そしてキスして
翔梧さんの次の休みに合わせて、マンションまで来てくれた母。
「ご迷惑をおかけします」
そう、彼に頭を下げてくれる。
「いえ、私が無理矢理引き留めました。すいません」
目の前で交わされている会話が、すべて私の事を想って発せられるものだと感じて、涙が溢れてくる。
母が作ってきてくれた、家庭料理。
タッパにわんさかあるそれは、更に私の心を穏やかにした。
母の作ってきてくれた、大根の煮物や、がんもどき、肉じゃが、ホウレンソウのお浸し。
少し前まで食べていたのに、もう懐かしい気がする。
それに、どんなに努力しても、母の味には追いつけないのだと感じる。