私を壊して そしてキスして

「やっぱり美味しい」


3人で、それを温めて食べることにした。
少しずつ箸をつけて、その味を堪能する。

翔梧さんも「すごく美味いです」と言って、何杯も御飯をお替りして、母も笑顔だ。


「菜那……」

「えっ?」

「あなた、吐かなくなったのね」


食事が終わって、皆でお茶を啜っていた時、母がそう漏らした。

まだたくさんは食べられないけれど、もうめったに戻すことはなくなった。


「うん。心配かけて、ごめん」


「いいの。親が子の心配をするのは当然よ。
あなたがこうして回復してきたのは、柳瀬さんのおかげね。
本当にありがとうございます」


「いえ、私は何も」


優しい時間が流れていた。
久しぶりに少しも棘を感じない、そんな時間に安堵して、心が震える。



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