私を壊して そしてキスして
「こんな人、初めて会ったわ。
毎日電話をくれて、あなたの様子を知らせてくれた。
まだ吐いてしまいます。すいません。なんて謝ったりして。
柳瀬さんのせいじゃないのに。
菜那がここにいることで、柳瀬さんのお仕事に支障が出るんじゃないかって、聞いたことがあるの。
でも、彼は即答したのよ。
全くありません。むしろ、いてくれると、僕が元気になれますって。
柳瀬さんの隣にいれば、いつかあなたが元気を取り戻してくれると思った。
だって、あなたの事をこんなに考えて……。
だから、安心してお任せできたの」
母の目に、うっすらと涙が浮かぶ。
もうこれ以上、心配かけてはいけない。
前に進もうと、そう思った。