私を壊して そしてキスして
少しウキウキした気分で大通りを歩いていると、突然目の前に現れたその人に、震えてしまった。
「――菜那」
「靖司……」
まるで時間が止まってしまったかのように、動くことすらできなくなる。
彼が私に近づいてきて、あとほんの少しのところで足を止める。
「探した、よ」
彼のそんな言葉に、目を見張る。
どうして?
探す必要なんてないじゃない。
あなたが私を追い詰めた張本人なの。
何も言えない私に、手を伸ばす彼。
「少し、話がしたいんだ」
私の手首をつかんだ彼の手。
少し前まで、それが嬉しくてたまらなかったのに、今は――。