私を壊して そしてキスして

今日、こうやって話して、何だかすっきりした気もする。


彼に叩かれた頬がジンジンして熱を帯びていて、それでもやっと終わったって、そんな安堵もある。


少しは、本気で愛していてくれたのかな……。

彼と付き合っていた間は、確かに幸せだったんだ。
決していやな思い出ばかりじゃない。
だって、一時は生涯を共にしようと思った人なのだから。

そんなことを考えて、もうこれで終わりにしようとそう思った。



「菜那?」


ソファーの上で膝を抱えて縮こまっていると、突然ついた電気。

暗くなっていたことにすら気がつかなかった。




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