私を壊して そしてキスして

そのまま私をギュッと抱き寄せた彼は、何も言わずに、ただ私が落ち着くのを待っていてくれる。


彼はとても温かくて、私の冷え切った心まで、じわじわと温まってくるのを感じる。


新しい恋なんて、もうできないって。
それほど今回の事は、私を苦しめた。


正直言って、翔梧さんと上手く恋ができる自信もない。
もう一度、あれほど誰かを愛するなんてこと、私にできるのかも分からない。


けれど、今は一人ではいられない。
彼に隣にいて欲しい。

こんなの卑怯だって分かっている。
けれど、そういう事ですら、彼は分かっている気がして。

今は、ほんの少し時間が欲しい。
少しだけ、誰かに甘えていたい。


彼のことを心から愛せるまで。





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