私を壊して そしてキスして

その日の夜は、やっぱり私を抱き締めたまま眠る彼。

少し窮屈で、息苦しくて……。
だけど、心地いい。

時折額にかかる彼の息が、誰かに守られていると感じて、安心する。


靖司のことがあって、うまく眠りにつけなかった私がそっと目を開くと、彼の目と合ってしまう。

起きていてくれたんだ。



「眠れないのか?」

「うん……」


こんな時はいつも、多めの睡眠薬で無理矢理眠っていた。

けれどいつも嫌な夢を見て、朝までぐっすり眠れることがなかったように思う。


「菜那、俺を信じろ。必ず、幸せにする」


まるで、永遠を誓うかのようなセリフ。
彼の真剣な目が、私の鼓動を高鳴らせる。



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