私を壊して そしてキスして

「今日な、森本に休憩室で会ったら、嫌な指摘をされたんだ」


「恵美さんが、何?」


「菜那がいなくなってから、営業成績落ちてるだってさ」


「えっ?」


「そんなに落ちてるわけじゃないんだぞ? 
ただ、前ほどは上がってないな。

あいつ、目の付け所が違う。
菜那のことずっと前から好きだったんでしょ? なんて聞くから、そうだけど? って言ってやったら笑ってた。

くそっ、あいつに頭が上がらなくなってきたぞ?」



そんな風に私を和ませてくれるのは、固くなった私の心を察したから。

その後も、ずっと眠れない私に取り留めもない話を聞かせてくれた彼。
そのおかげで、いつの間にか、眠りにつくことができた。


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