私を壊して そしてキスして
頭がズキンと痛むのは、泣きすぎたせいだろうか。
いつの間にか、隣に居たはずの翔梧さんはいなかった。
リビングに顔を出すと、コーヒーを片手にパソコンを操っている彼。
「菜那」
私に気がついた彼が、優しい声で私の名を呼ぶ。
「頭、痛いのか?」
私がちょっと顔をしかめただけで、そんなことにまで気がつく彼は、どこからか探してきた鎮痛剤を私に差し出した。
「とりあえず、飲め」
昨日の事には一切触れず、私を椅子に座らせて、水を持ってきてくれる。
ゴクッとそれを飲み干した時、すごく申し訳なくなってしまった。