私を壊して そしてキスして

安易に退職したことを、激しく後悔していた。

靖司は私が辞めるのは当然という感じだったし、彼が望むなら家庭に入ればいいとも思った。

けれど、本当にそれがしたかったことなのかと言えば、そうではないのかもしれない。



大したスキルがある訳じゃない私が、特に役立っていたかというと、それはそうだとは言えない。

だけど、雑用だってなんだって、自分のできることは精一杯してきたつもりだし、会社に行くのも楽しかった。

時には挫折だって味わったけれど、それが私を成長させてくれたのだとも思う。



もし、靖司と結婚したとしても、続けるという選択をしていれば……。

だけど、過ぎてしまったことを今更言っても仕方がない。



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