私を壊して そしてキスして

「とにかく、場所と時間はまた連絡するから、金曜は空けておけ」


すごく怒った口調でそういった彼は、そそくさとエレベーターへと向かう。


「あの……」

「すいません。いらっしゃいませ」


すぐに別の来客があった私は、彼を追いかけることもできなかった。


怒りで震える体。
そのあと、それなりに仕事は笑顔でこなしたけれど、接待のことばかりが頭の中をぐるぐる回って、何度考えても理不尽だと思えて。


定時丁度で上がっていいといわれていた私は、そのまま人事へと向かって事の成り行きを部長に話すと、「もう誘われたれの? 早いね」なんて返されて驚く。



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