私を壊して そしてキスして

私が就職して2年半経った頃、彼の仕事も充実してきて、お互いに余裕ができて……。


「菜那、結婚しよう」


そう言った彼の言葉に、涙を流してしまった私。
勿論、答えはYes。

もう、彼の事しか見えなかった。


家庭に入ってほしいという彼の言うままに、仕事を辞めることを会社に告げたころ、それに気づいてしまったんだ。



出張だと言っていた彼。

だけど、私は前日に彼と抱き合った後、シャワーに入るために外してしまった彼からもらった指輪を、彼の部屋に忘れてきてしまった。


少しくらいなら、いいよね。

彼から鍵を預かっていた私は、初めてその鍵を使って、指輪を取りに彼の部屋に向かった。



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