私を壊して そしてキスして
「ごめんなさい。あのっ……そんなに大したものじゃないんです」
「いや。俺にとっては、菜那の手料理はなんでも最高なんだよ?
好きな女の手料理が食べられるなんて、幸せ者だよ」
そういいながら、私の頭に手を乗せて、ほほ笑む。
じっと私の顔を見つめた後、「疲れてるだろ?」とつぶやいた。
その問いかけにハッとして、まともに答えることのできない私は、俯いたまま「着替えてきてください」なんて、彼を遠ざける。
彼に見つめられると、すべて見透かされてしまう気がして。
彼に心配をかけるのはもうやめよう。
今日のことだって、きっと一人で乗り越えられるはずだ。