私を壊して そしてキスして
「大丈夫です。何もありません」
もう、彼を寝かせたい。
「そんな訳ないだろ。会社のことを何も言わない。
それに……さっき吐いただろ?」
彼がお風呂に入っている間に、こっそり少しだけ吐いたのを、どうして気が付いたのだろう。
随分よくなった摂食障害。
けれど、過度なストレスがかかるとまだ吐いてしまうのだ。
「翔梧さん……」
「ん?」
「キス、してください」
「菜那?」
「そうすれば、私、頑張れる」
私の言葉を聞いた彼は、一瞬目を見開いた。
けれど、すぐに近づいてきた彼の気配にそっと目を閉じると、唇にほのかな温もりを感じる。
柔らかくて、温かく私を包むそれは、一度離れてまた寄ってきて――。
何度もそれを繰り返した後、彼の舌が私の唇をこじ開けて入ってくる。