私を壊して そしてキスして

「んっ……」


思わず漏れたため息に反応した彼が、角度を変えて私の口内に舌を這わせる。

控えめに彼の舌に自分のそれを絡ませると、一気に強く吸われる。


「菜那……」

最後に私の下唇を甘噛みした彼は、ギュッと私を抱き寄せてくれて。


「いつでも助けを呼べ」

「はい。ありがとうございます」


自分で頑張ってみたい。
そんな私の心の声を、きっと彼は汲み取ってくれたのだろう。


そのまま私を腕枕してくれた彼。
そんな彼の腕の中で生きている私。

彼の温もりがあれば、きっと、私は……。


もう一度軽いキスを交わした私たちは、互いの体温を感じながら眠りについた。


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