私を壊して そしてキスして

カチャッ


「お邪魔します」

誰もいないって分かっているのに、小さな声でそんなことを言いながら、そこへと足を踏み入れる。


もう何度も来て、部屋の間取りも分かっていた私は、電気も付けずに寝室へと向かった。


だけど、ほんの少し開いたそのドアから、明かりが漏れていて。

「点けっぱなしで行っちゃったんだ。だらしないなぁ」なんて思ったとき、視界に何か動くものが目に入った。


えっ……。

それは壁に女の人を押しつけて、スカートの中に手を入れながら、深いキスを落としている……彼。


「はぁ……」


頭が真っ白になって動けなくなってしまった私に、その女の深い溜息まで聞こえてしまって。



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