私を壊して そしてキスして
彼と別れて会社に向かった。
いつもとは違うパンツスーツ。
スカートなんてはいてやるもんか。
あれから、何とか手に入れた商品一覧を時間のある時に眺めては頭に入れていた。
呑みに行くだけじゃ、仕事じゃない。
私だって営業してやる。そんな一心で。
けれど、時間が迫ると心臓がどきどきして止まらない。
ろくに話をしたことのない相手と、いきなり呑みに行くなんて。
しかも、森さんの目的が仕事ではなく……。
本当にこれが仕事なのだろうか。
もちろん、翔梧さんだって接待はあったし、すべきじゃないなんて思っているわけじゃない。
だけど、仕事とまったく関係のない私が――何の仕事が進行しているのかも知らされない私が借り出されるのは、私が「女」だからとしか考えられないわけで。