私を壊して そしてキスして

「なんて失礼なやつだ。この業界の厳しさを知らないくせに。
でかい会社にいたからって、バカにするのもいい加減にしろ」

「失礼は承知の上です。
でも、三友商事でそんなことをする人、いませんでした。
そんなことしなくても、契約もとれたし、みんな有能でした」


売り言葉に買い言葉なのかもしれない。
それでも、この人は間違っている。


「最低だ。俺たちが無能だと? 
会社の名前だけで商売しているところとは違う」


その時、私の中のなにかが弾ける。

確かに三友商事は大きな会社だ。
けれど、翔梧さんを含めてどの人も皆、努力を怠らなかったし、何度も挫折しては這い上がってきた姿を見ている。

だからあんなに成功して大きな会社になったのだ。



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