私を壊して そしてキスして
「もう行きなさい。必要な書類はきちんと郵送するから。
いい仕事、見つけるのよ?」
「ありがとうございます」
深く頭を下げると、なんだか泣きそうになる。
彼女の人生も巻き込んでしまったのかもしれない。
それでも、それでよかった気もして。
会社を出て走って彼のところへ。
息を切らせて入ってきた私にたくさんの視線が降り注いだけれど、私の視線は彼だけを捉えていて。
「翔梧さん、私……」
「頑張ってきたんだな」
「はい」
きっとあの人がいてくれなければ、もっと大変なことになっていたに違いない。
だけど、自分の主張を言えたことで、一歩前進できた気がする。