私を壊して そしてキスして
彼から何度も電話が入ったけれど、私はそれを解約して、新しくした。
もう、何も聞きたくなんかない。
戻れる可能性なんて、もう少しもない。
同じ家に住む妹。
私が両親に結婚の取りやめを話した時、勝ち誇った目で私を見下していた。
「婚約破棄だなんて、菜那、何をしたんだ!」
怒りを露わにして、激しく私を責めたてる父。
当然だ。婚約までしておいて。
「会社に辞表を出しちゃったんでしょ? どうするつもりなの?」
困惑した顔で、私に詰め寄る母。
母の言葉は私に突き刺さった。
もう、私には何も、ない。
愛希の事をぶちまけてしまいたかったけれど、もうこれ以上父と母を悲しませたくなくて、私はただ、その屈辱に耐えるしかなかった。