私を壊して そしてキスして

そうなのかもしれない。

だけどやっぱり彼の紹介ということなら、彼の顔に泥を塗らないようにしなければならない。



「ここな」


ひとつのドアの前に立った彼は、ためらいなくそれを開ける。
私も少し緊張しながら、その中へと進んだ。


「柳瀬です」

「こんちは。お久しぶりですね。平井ですよね」


ほとんど顔パスな感じの彼。

今までの会社とは違って、ドアを入ったらもうそこは事務所になっている。簡単な受け付けカウンターのような場所はあったけれど、これから出すだろう宅急便の山になっていた。

まるで本社ではなく、営業所のような……。



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